医療費が不安

監修:三宅整形外科医院 院長
三宅 信昌 先生
関節リウマチの治療にかかる医療費の負担を減らすためにいくつかの公的制度が利用できます。
❶ 高額療養費制度
医療機関や薬局の窓口で支払った額がひと月(月の初めから終わりまで)で上限額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度です。
Q どのくらい免除されるの?

A 自己負担の上限額は、年齢や所得によって異なります。

69歳以下

適用区分 ひと月の上限額 ( 世帯ごと)
年収約1,160万円〜
健保:標準報酬月額83万円以上
国保:旧ただし書き所得※1 901万円超
252,600円+(医療費−842,000円)×1%
年収約770万〜約1,160万円
健保:標準報酬月額53万〜79万円
国保:旧ただし書き所得600万〜901万円
167,400円+(医療費−558,000円)×1%
年収約370万〜約770万円
健保:標準報酬月額28万〜50万円
国保:旧ただし書き所得210万〜600万円
80,100円+(医療費−267,000円)×1%
〜年収約370万円
健保:標準報酬月額26万円以下
国保:旧ただし書き所得210万円以下
57,600円
住民税非課税の方 35,400円
※1 旧ただし書き所得とは、前年の総所得金額と山林所得、株式の配当所得、土地・建物等の譲渡所得金額などの合計から基礎控除(43万円、例外あり)を除いた額です。

70歳以上

適用区分 ひと月の上限額(世帯ごと)
外来(個人ごと)
現役並み 年収約1,160万円〜
標準報酬月額83万円以上
課税所得690万円以上
252,600円+(医療費−842,000円)×1%
年収約770万〜約1,160万円
標準報酬月額53万円以上
課税所得380万円以上
167,400円+(医療費−558,000円)×1%
年収約370万〜約770万円
標準報酬月額28万円以上
課税所得145万円以上
80,100円+(医療費−267,000円)×1%
一般 年収156万〜約370万円
標準報酬月額26万円以下
課税所得145万円未満など
18,000円※2
(年間144,000円)
57,600円
住民税非課税等 II 住民税非課税世帯 8,000円 24,600円
I 住民税非課税世帯
(年金収入80万円以下など)
15,000円
※2 75歳以上の2割負担対象者について、令和7年9月30日までの3年間、外来医療の1カ月分の負担増加額は最大3,000円までとなります。
高額療養費貸付制度
高額療養費が払い戻されるまでの間、当座の資金として、払い戻される8割から9割相当の額を無利子で貸付を受けることができます。
参考:厚生労働省保険局「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)」
https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf
厚生労働省「後期高齢者医療の窓口負担割合の見直しについて(お知らせ)」
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000977090.pdf
Q 手続きはどのようにするの?

A 加入している保険によって窓口が異なります。

★マイナンバーカードを健康保険証として利用できる医療機関では、「限度額適用認定証」がなくても限度額を超える支払いが免除されるため限度額以上の一時支払いが不要になります。
自己負担がさらに軽減されるとき
★本ページにおける1カ月とは月の初めから終わりまでを指します。

●1カ月間で複数の医療機関を受診した場合

1つの医療機関の自己負担額(院外処方における薬剤費等を含む)が上限額を超えない場合でも、他の医療機関等の医療費を合算することができます。
※「入院」と「外来」、「医科」と「歯科」は別々に計算
☑ 69歳以下の方は21,000円以上の自己負担のみ
☑ 70歳以上の方は自己負担の額

●1カ月間に同じ世帯の複数人が医療機関を受診した場合(世帯合算)

お一人の1回分の窓口負担では高額療養費の支給対象とはならなくても、複数の受診や同じ世帯にいる他の方(同じ医療保険に加入している方に限ります)の受診について、窓口でそれぞれ支払った自己負担額を1カ月単位で合算することができます。
※「入院」と「外来」、「医科」と「歯科」は別々に計算
☑ 69歳以下の方は21,000円以上の自己負担のみ
☑ 70歳以上の方は自己負担の額
※「世帯」の考え方
自己負担額の合算は、同一の医療保険に加入する家族を単位として行われます。
(医療保険における「世帯」は、住民基本台帳上の世帯の範囲とは異なります)
参考:一般社団法人日本リウマチ学会『メディカルスタッフのためのライフステージに応じた関節リウマチ患者支援ガイド』

●直近12カ月間で3回以上高額療養費制度を利用した場合(多数回該当)

同じ世帯で、当月を含む直近12カ月間にすでに3回以上高額療養費が支給されている場合は、4回目から多数回該当が適用になり、自己負担限度額がさらに引き下がります。

69歳以下

70歳以上

※「住民税非課税」の区分の方については、多数回該当の適用はありません。
健康保険組合から国民健康保険に加入するなど、保険者が変わった場合には支給回数は通算されません。

●1年間で公的医療保険と介護保険の両方を利用した場合(高額医療・高額介護合算療養費制度)

同一世帯内に介護保険の受給者がいるとき、1年間(8月1日~翌年7月31日)にかかった医療保険と介護保険の自己負担額の合計が下表の額を超えた場合、その超えた金額が払い戻されます。高額療養費制度が「月」単位で負担を軽減するのに対し、「月」単位での負担軽減があっても、なお重い負担が残る場合に「年」単位で負担を軽減する制度です。
【 医療と介護の自己負担合算後の限度額 (8月1日~翌年7月31日) 】

69歳以下

所得区分※1 限度額
年収約1,160万円〜
健保:標準報酬月額83万円以上
国保:旧ただし書き所得※2 901万円超
212万円
年収約770万〜約1,160万円
健保:標準報酬月額53万〜79万円
国保:旧ただし書き所得600万〜901万円
141万円
年収約370万〜約770万円
健保:標準報酬月額28万〜50万円
国保:旧ただし書き所得210万〜600万円
67万円
〜年収約370万円
健保:標準報酬月額26万円以下
国保:旧ただし書き所得210万円以下
60万円
市区町村民税非課税 34万円

70歳以上

所得区分※1 限度額
現役Ⅲ 年収約1,160万円〜
標準報酬月額83万円以上
課税所得690万円以上
212万円
現役Ⅱ 年収約770万〜約1,160万円
標準報酬月額53万円以上
課税所得380万円以上
141万円
現役Ⅰ 年収約370万〜約770万円
標準報酬月額28万円以上
課税所得145万円以上
67万円
一般 年収156万〜約370万円
標準報酬月額26万円以下
課税所得145万円未満など
56万円
市区町村民税非課税 低所得者Ⅱ 31万円
低所得者Ⅰ
(年金収入80万円以下など)
19万円※3
※1 対象世帯に70歳以上と69歳以下が混在する場合、まず、70歳以上の自己負担合算額に限度額を適用した後、残る負担額と69歳以下の自己負担合算額を合わせた額に限度額を適用する。
※2 旧ただし書き所得とは、前年の総所得金額と山林所得、株式の配当所得、土地・建物等の譲渡所得金額などの合計から基礎控除(43万円、例外あり)を除いた額です。
※3 介護サービス利用者が世帯内に複数いる場合は31万円。
69歳以下の方と合算する場合は、1カ月1件21,000円以上の自己負担額が対象となります。ただし合算できるのは健康保険組合からの高額療養費の給付金や自治体からの助成等を控除した後の金額です。
入院時食事療養および入院時生活療養の標準負担額は給付の対象になりません。
参考:一般社団法人日本リウマチ学会『メディカルスタッフのためのライフステージに応じた関節リウマチ患者支援ガイド』
❷ 付加給付
ご加入の健康保険が独自で行っている給付のことで、自己負担額から高額療養費の払い戻し分を差し引いた額のうち、基準額を超えた分が支給されます。付加給付額は加入している健康保険組合によって異なります(付加給付制度のない健康保険組合もあります)。国民健康保険には付加給付制度がありません。
Q 手続きはどのようにするの?

A 各健康保険組合や協会けんぽ、共済組合などの窓口で行います。

※医療機関から請求される診療報酬明細書(レセプト)をもとに、自動的に支給されることも多いです。
参考:一般社団法人日本リウマチ学会『メディカルスタッフのためのライフステージに応じた関節リウマチ患者支援ガイド』
❸ 重度心身障害者医療費助成
重度心身障がい者の保健の向上と福祉の増進を図るため、障がいのある方が医療機関などで診療を受けた場合、保険診療における医療費の自己負担額を助成します。
Q 手続きはどのようにするの?

A 市区町村の担当窓口にて申請を行います。

【 東京都:心身障害者医療費助成制度(マル障)】

助成対象基準

東京都内に住所を有する方で、1、2又は3に該当する方。
ただし、下記の「対象除外」に該当する方は申請できません。
1 身体障害者手帳1級・2級の方(心臓・じん臓・呼吸器・ぼうこう・直腸・小腸・ヒト免疫不全ウイルスによる免疫・肝臓機能障害の内部障害については3級も含む。)
2 愛の手帳1度・2度の方
3 精神障害者保健福祉手帳1級の方
〈対象除外〉
下記に該当する方は申請できません。
・ 所得制限基準額を超える方
・ 生活保護や中国残留邦人等支援給付を受けている方
・ 65歳以上になってはじめて上記対象者の1、2又は3に該当することになった方
・ 65歳に達する日の前日までにマル障の申請を行わなかった方
・ 後期高齢者医療の被保険者で、かつ住民税が課税されている方 など

助成対象

医療保険の対象となる医療費、薬剤費など(自己負担額分から一部負担金を差し引いた額)
※医療保険の対象とならない入院時の食事代や差額ベッド代などは対象外
負担割合 1カ月あたりの自己負担上限額
住民税課税者 通院(外来) 総医療費の1割 18,000円/月
年間上限:144,000円/年※1
入院 総医療費の1割 57,600円/月
多数回:44,400円/月※2
住民税非課税者 通院(外来) 負担なし
入院 負担なし
※1 計算期間(8月1日から翌年7月31日)において、上限額を超えた部分を高額医療費として助成。ただし加入している健康保険組合等から、高額療養費として支給される額を除く。
※2 過去12カ月以内に3回以上、上限額(57,600円)に達した場合は、4回目から上限額が軽減される。
参考:東京都福祉保健局「心身障害者医療費助成制度(マル障)」
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/josei/marusyo.html
❹ 医療費控除
前年1年間(1月1日〜12月31日)に、ご家族の分を含めた医療費等が一定額を超えたとき、申請することで所得税の一部が還付される制度です。
※補てんされる見込みがあれば見込み額での申請が必要です。見込み額と違っていたときはあとで修正申請や更正の請求をします。
セルフメディケーション税制と医療費控除との併用はできないため、どちらか一方を選びます。
※上の内容はあくまでも一例となります。
Q 手続きはどのようにするの?

A 確定申告にて行います。

参考:一般社団法人日本リウマチ学会『メディカルスタッフのためのライフステージに応じた関節リウマチ患者支援ガイド』
国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm
「No.1122 医療費控除の対象となる医療費」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1122.htm
2023年8月現在の情報に基づいて作成しています。
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