先生からのメッセージ

関節リウマチに制限されず普通に暮らせる時代に

  • 森整形外科クリニック 院長
Mori Taketo
森 武人先生

目標は今まで通りの生活を送ること―治療はスピードが大切

 関節リウマチの治療目標は、病気を理由にしてやりたいことを諦めることなく健康な人と同じように暮らすことです。今は良いお薬がたくさんありますから、治療を継続し病気をコントロールできれば、関節リウマチ発症前と同様の生活を送れますし、妊娠や出産も可能です。患者さんには「自ら行動を制限せずに普通に過ごせるようしっかり治療しましょう」といつもお話ししています。

 我が国の高齢化に伴い、関節リウマチ患者さんも高齢化しています。60代以降に発症する方も増えており、患者さんの中には高齢を理由に治療に消極的な方もいらっしゃいます。しかし当院では、関節リウマチのために歩けなくなったり要介護となったりしないよう、高齢患者さんこそスピード感を持った対応が必要と考え、1~2か月での症状改善を目指し治療に当たっています。

症状がなくてもお薬は継続する

 関節リウマチの症状が改善されると、自己判断でお薬を中止する患者さんがいらっしゃいます。しかし、自己判断でお薬を中止してしまうと病気が再燃し、今はよくても1年後、2年後に関節破壊が起きてしまう可能性があります。未来の自分をイメージし、お薬をしっかり続けていただければと思います。ただし風邪などで体調の悪い日は休薬する必要がありますので、主治医の指示に従うようにしましょう。副作用などへの不安や分からないことなどがあれば、何でも主治医に相談して早め早めに解決していただければと思います。

森 武人先生

禁煙を守り、無理をせず、睡眠と栄養は十分に

 日常生活で最も大切なのは禁煙です。喫煙で関節リウマチのお薬が効きづらくなることもありますし、関節リウマチに多い呼吸器合併症の予防にも重要です。

 また、無理をしないことも大切です。睡眠はしっかりと取り、栄養バランスの良い食事を心がけましょう。特に関節リウマチでは骨粗しょう症を併発している方が多いので、カルシウムは意識的に摂っていただければと思います。骨のためには体内のビタミンD産生を促すよう、日光浴を習慣にすることも良いでしょう。ご自身がポジティブに楽しめる運動も適度に行っていただければと思います。

関節を守る日常動作のひと工夫

 最後に、知っておいていただきたい関節を守る日常動作の工夫をご紹介します。

 立ち上がったり、起き上がったりするときは、手や肘をつかないように注意しましょう。手や肘の関節は体重をかけるようにはできていないので、壊れてしまう可能性があります。また、手指に負担をかける動作を行う場合は、手指の関節は壊れると小指側に曲がっていきますからそれとは逆になるよう、例えば雑巾がけは小指側から親指側に向かって円を描くように行うと関節の負担が軽減されます。瓶のふたを開ける動作も手指の関節に負荷がかかりやすいため、オープナーなどの自助具は積極的に使うようにしましょう。

森 武人先生
森 武人先生

森 武人

1998年岩手医科大学医学部を卒業し、東北大学病院整形外科に入局する。2000年平鹿総合病院整形外科に勤務し、2002年東北厚生年金病院(現:東北薬科大学病院)整形外科・リウマチセンター医長に就任する。2007年仙台市立病院整形外科医長を経て、2011年より現職。

森整形外科クリニック

病床数:なし
所在地:宮城県岩沼市桜1-1-11

取材:2024年
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