先生からのメッセージ

関節リウマチ治療の基本は服薬遵守とストレスの軽減

  • 新潟大学医歯学総合病院 整形外科 病院准教授
Kondo Naoki
近藤 直樹先生

治療で寛解を目指せる時代に

 私が研修医の頃、関節リウマチは「不治の病」と言われ、患者さんは関節に高度の変形を来している方がほとんどでした。しかし現在は寛解を目指せる薬も登場し、治療は著しく進歩しています。ですから患者さんには関節リウマチと診断されても悲観せず、病気を忘れる状態を目標に治療に臨んでいただければと思います。

近藤 直樹先生

薬をきちんと飲み、精神的・肉体的ストレスを避ける

 治療で最も大事なことは、薬を主治医の指示通りにきちんと服用することです。また、精神的・肉体的ストレスは関節リウマチの悪化要因になることもあるので、日常生活ではよく眠り、よく食べ、適度に運動してストレスを溜めないよう心がけましょう。

 関節に痛みがある場合は無理をせず休むことも大切です。痛みが周囲に理解されず、ずる休みだと思われそうで休めないという方には、勤務先や学校宛てに「〇月△日からの1週間は休養を必要とする」といった診断書を用意することもできます。必要な場合は主治医に相談してみましょう。

 また関節リウマチでは足先に軽微な違和感を覚える方も多く、転倒には注意が必要です。つまずきの原因となりますのでなるべく床に物を置かないようにし、部屋はいつも片付けておきましょう。

近藤 直樹先生

装具や器具で関節を守り、日常生活動作をスムーズに

 関節への負担や日常生活動作のストレスを軽減させるためには、関節リウマチ患者さん用に開発された装具や器具を利用するのも良いでしょう。

 例えば、前腕の長い2本の骨を手首でつないでいる手首の関節が緩むと腱が切れて手を使えなくなってしまいますが、これを防止するために開発された手首用のリストサポーターがあります。また、手の指の付け根の関節が外側に向かってずれてしまうことを防止する装具などもよく使われます。足関連では外反母趾用の装具や、足の親指と小指の付け根を結ぶ靭帯や筋・腱によって構成されたアーチ(横アーチ)を支え、偏平足を予防するインソールやサポーターなどもあります。

 日常生活動作を助ける器具としては、例えば手で物をつまむ動作が難しくなってきたときには、使いやすく改良された箸やスプーンなども市販されています。

 さらに当院では、足の爪を切るためにかがむことが難しかったり、通常の爪切りをうまく使えなかったりする患者さん用に刃に角度をつけ先端を丸くした爪切りを開発しています。

 これらの用具を適切に利用することで快適な日常生活を送っていただきたいと思います。

近藤 直樹先生

近藤 直樹

1998年新潟大学医学部医学科卒業。2006年同大学医歯学総合研究科機能再建医学講座整形外科学分野大学院を卒業後、Thomas Jefferson大学整形外科Research fellow Ph.D(変形性関節症、椎間板を主とした軟骨代謝研究留学)を経て、2008年新潟大学大学院医歯学総合研究科機能再建医学講座整形外科学分野医員、2010年同助教となる。2015年同大学医歯学総合病院整形外科講師に着任し、2021年より現職。

新潟大学医歯学総合病院

病床数:827床
所在地:新潟県新潟市中央区旭町通1番町754

取材:2024年
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