先生からのメッセージ
- 藤田医科大学 リウマチ・膠原病内科学助教
最善の治療で以前と変わらない日常生活を目指す
関節リウマチの患者さんは、関節痛や関節破壊への不安から行動や動作を制限しがちです。しかし、最善の治療を行うことで関節リウマチの症状が治まり臨床的にコントロールされた状態となれば、病気になる前と遜色のない日常生活を送ることは可能です。患者さん一人ひとりが自分らしく暮らせるよう、患者さんの日常生活の中での症状の変化や治療に対する期待や不安を丁寧にお聞きし、それに応える治療法の提案に努めています。
基本的な感染予防対策とワクチンが重要
関節リウマチの患者さんは病気の進行や治療によって外敵から身を守る免疫機能が低下することが多く、感染症にかかりやすくなります。したがって、手洗い、うがい、マスクの着用、人混みの回避など基本的な感染症の予防策をお願いしています。ワクチン接種も感染症の発症予防や重症化予防に有用です。ただし、免疫を抑制する薬を使用している場合は生ワクチンを避ける必要がありますので、主治医に薬の内容について接種前にご確認ください。
感染症に罹ってしまった場合は、高熱や症状が続くなど通常の風邪などとは異なる症状が現れたりするようであれば、重症化するおそれがありますので、早めに主治医を受診していただきたいと思います。
服薬に問題がある場合は主治医に相談を
関節リウマチ治療の効果を高めるには、処方された薬を指示通りに服薬することがとても大切です。飲み忘れてしまう、飲みにくいなど服薬に問題がある場合は、飲み忘れをしにくい工夫や注射薬に変更するなどの対応もできますので、主治医にご相談ください。
また、夏は脱水に陥りやすく、薬の濃度が上昇して副作用が現れやすくなることがあります。こまめな水分と塩分の補給で脱水を予防してください。
妊娠を望む患者さんにはプレコンセプションケアが重要
関節リウマチの患者さんは女性が多く、若い患者さんでは妊娠や出産に不安を持つ方が少なくありません。しかしプレコンセプションケア(妊娠前に行う健康管理)を行うことで、より良い妊娠・出産が可能です。とくに関節リウマチの治療に使用される薬には妊娠中は禁忌とされるものがあります。そのような薬を使用している場合は、計画的に妊娠・出産まで管理し、薬を減量から中止に向けて調整しながら、関節リウマチを抑えることが必要となります。妊娠を希望される患者さんは早めに主治医にお伝えいただければと思います。
ご家族には、病気の理解・サポートをお願いしたいです。ご家族のサポートは治療効果を高めます。とくにご家族から患者さんの状況を伺うことは、実際の病状を把握する上で有意義です。時々で結構ですのでご家族にも外来にお越しいただき、患者さんの日常生活の中での様子や変化を教えていただければと思います。
長縄 達明 先生
2013年福井大学医学部医学科卒業。同年松波総合病院臨床研修センター初期研修医。2015年同院総合内科医員。2016年岐阜大学医学部付属病院免疫内分泌内科医員。2017年藤田保健衛生大学(現:藤田医科大学)医学部リウマチ・感染症内科(現:リウマチ・膠原病内科)助教。
藤田医科大学病院
病床数:1,376床
所在地:愛知県豊明市沓掛町田楽窪1番地98