先生からのメッセージ

患者さんと医師がともに目指す支障のない日常生活

  • 松山赤十字病院 リウマチ膠原病センター 副部長
Kodama Kako
児玉 華子先生

医師と患者さんがともに治療目標に邁進することが大切

 関節リウマチの治療の目標は、痛みを緩和し、関節の変形を防ぎ、支障なく日常生活を送れるようになることです。そのためには、医師と患者さんが密なコミュニケーションをとり、患者さんの病状や生活環境を考えて、治療の見直しを行いながらともに目標に向かって邁進することが望まれます。そこで私は、患者さんが何でも気軽に話せ、治療に前向きになっていただけるようなハッピーな診療を心がけています。

感染症の発症予防・重症化予防に役立つワクチン接種

 関節リウマチは、免疫の異常が原因で発症します。したがって、治療には免疫を抑制する作用がある薬が使用されるため、感染症にかかりやすくなるリスクがあります。風邪が長引く、呼吸が苦しいなどいつもと違う症状があればすぐに主治医にご相談ください。

 感染症の予防対策としては特別なことは必要なく、マスクの着用や手洗い、うがい、ワクチン接種など通常の対策を行っていただければ十分です。とくに高齢の患者さんの場合は帯状疱疹ワクチン、インフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチンの接種をおすすめします。インフルエンザや帯状疱疹、肺炎は、重篤になると命に関わったり、後遺症に長く悩まされたりすることがあります。ワクチン接種は発症予防や重症化予防に有用です。高価なものもありますが、将来のリスク回避を図る「保険」と考え、主治医と相談しながら必要なワクチンを選択してください。

児玉 華子先生

関節を守る生活動作の工夫を

 関節リウマチの患者さんは、関節に負担をかけない動作を心がけることが大切です。例えば、拭き掃除をする場合は、手首を左右に回転させて拭くのではなく上下に拭くようにします。立ち上がる時に床やテーブルに両手をつく動作や、重い物を持つことも手首や手指の関節に負担がかかるので気をつけましょう。ヒールの高い靴やつま先が細くなった靴、長時間の正座は足や膝関節、足指に負担をかけます。グーパー運動が朝のこわばりに良いと考えて励行されている患者さんがいらっしゃいますが、これもやり過ぎは逆効果です。机に指先をつけて手首をゆっくり反らすストレッチを1日数回行う方が良いでしょう。

児玉 華子先生

ご家族は過度に心配せず、何かあれば主治医に伝えて

 患者さんのご家族には、関節リウマチであっても一般の方と変わらない生活が可能であることを伝えたいです。若い女性患者さんでは出産や育児も可能です。高齢の患者さんでは年齢的なことも含めできないこともでてきますが、ご家族は過度に心配せず普通に関わってください。そして、日常生活の中で気になる点がありましたら、受診時に患者さんと一緒に来ていただき、主治医や看護師にお伝えいただきたいと思います。

児玉 華子先生

児玉 華子

2010年北里大学医学部卒業。2012年同大学病院膠原病感染内科学教室入局。以降、東京逓信病院、北里研究所病院、調布東山病院などを経て、2018年独立行政法人国立病院機構相模原病院リウマチ科。2023年九州大学第一内科に入局。同年松山赤十字病院リウマチ・膠原病センター勤務。同年10月より現職。

松山赤十字病院

病床数:585床
所在地:愛媛県松山市文京町1番地

取材:2023年
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