先生からのメッセージ

将来の寝たきりを防ぐために日々の健康管理を

  • 日本赤十字社 京都第二赤十字病院 糖尿病内分泌・膠原病内科 医長
Kukida Yuji
茎田 祐司先生

診察室では医師との会話を楽しんでいただきたい

 地域医療支援病院である当院にはかかりつけ医から合併症のある患者さんが紹介されてくることが多く、合併症にも対応しながら関節リウマチ治療ができるよう、各科との連携を密に行っています。関節リウマチの炎症をいち早く発見するため、関節超音波検査やMRI検査にも力を入れています。さらに関節リウマチでは整形外科的な治療が必要な場面もあり、整形外科で週に1回「リウマチ内科外来」を開き、整形外科と連携して治療に当たっています。

 患者さんには、治療へのモチベーションを持ち続けていただくことが大事です。診察の合間には運動や食生活のことなどを伺って総合的な健康状態をチェックしながら、雑談も交えた楽しい会話を心がけ、病院に来て良かったと笑顔でお帰りいただけるよう工夫をしています。

茎田 祐司先生

魚をよく食べ毎日歩くなど、日々の健康管理を大切に

 近年、関節リウマチの治療が進歩したため患者さんの関節の状態は以前よりも良好になり、多くの方がごく普通に生活されています。そこで患者さんに意識していただきたいのが日々の健康管理です。

 関節を守り、将来の寝たきりを防ぐためにも、筋力を保つ運動習慣が大切です。いきなり激しい運動は難しくても、まずは毎日の散歩を心がけていただければと思います。

 食生活も重要です。健康食として知られる地中海食では、オリーブオイルや野菜と共に魚介類が食されています。患者さんには診療の合間に「魚を食べましょう」とお話ししています。魚には良質のたんぱく質や健康に良い油である不飽和脂肪酸が含まれています。さらに、カルシウムの吸収を助けるビタミンDが豊富ですので、関節リウマチ患者さんが合併しやすい骨粗しょう症の予防にもなります。

高齢の患者さんに必要な周囲のサポートとは

 日本全体に見られるように、関節リウマチにおいても高齢化は大きな問題です。高齢で関節に症状のある患者さんは家に閉じこもりがちになりやすく、その結果筋肉量が減少し、日常生活に支障が出たり、転倒や骨折などにもつながる恐れがあります。また年齢とともにお薬の飲み忘れ・注射剤の打ち忘れも多くなります。最近登場した新薬は投与間隔が1か月に1回といったものもあり、一度の飲み忘れ・打ち忘れで一気に関節リウマチが悪化してしまう可能性があります。すると、病状の悪化からますます家から出られなくなり体が弱っていくという悪循環に陥りやすくなってしまいます。高齢の患者さんを持つご家族や周りの方は患者さんの服薬をサポートし、たまには一緒に外出するといった工夫もしていただければと思います。高齢の患者さんは医師が説明した内容も全て覚えていらっしゃるとは限らないため、可能であれば診察にはどなたか周りの方が付き添っていただくことが望ましいと思います。

茎田 祐司先生
茎田 祐司先生

茎田 祐司

2007年京都府立医科大学医学部を卒業し、京都府立医科大学附属病院臨床研修医となる。2009年京都第一赤十字病院呼吸器科専攻医、2011年京都府立医科大学附属病院膠原病内科後期専攻医を経て、2013年京都府立医科大学大学院医学研究科免疫内科学に入学する。2017年同大学大学院医学研究科免疫内科学を修了。2018年京都第二赤十字病院糖尿病内分泌・腎臓・膠原病内科 医長に就任。2022年より現職。

日本赤十字社 京都第二赤十字病院

病床数:667床
所在地:京都府京都市上京区春帯町355-5

取材:2023年
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