先生からのメッセージ

高齢関節リウマチ患者に必要な家族・周囲のサポート

  • 医療法人徳洲会 湘南かまくらクリニック
    院長/リウマチ科・内科・漢方内科
Yoshizawa Masaki
吉澤 和希先生

関節リウマチはいまやそれほど恐ろしい病気ではない

 関節リウマチは治療の進歩により、完全には治らないまでも、普通の日常生活を送れるようになってきています。しかし、未だに恐ろしい病気だと思い込んで来院する患者さんもおられます。継続的な専門医の受診や服薬、採血を含めた定期検査が必要ではありますが、関節リウマチはいまやそれほど恐ろしい病気ではないということを患者さんには一番にお伝えしたいと思います。

高齢患者では併存疾患にも注意しながら治療を行う

 関節リウマチは膠原病と呼ばれる自己免疫疾患の一種ですから、全身の色々な病気を合併する可能性があります。また、日本全体の傾向として、高齢の関節リウマチ患者さんが増えています1)

 関節リウマチに多い合併症に慢性腎臓病があります。一般に高齢になると腎機能が低下しますが、薬物治療を行っている関節リウマチ患者さんではさらに腎臓に負担がかかりますので注意が必要です。また高齢の関節リウマチ患者さんでは白内障や難聴、頻尿、脊柱管狭窄症、変形性関節症、骨粗しょう症など併存疾患を検討しつつ治療を考えていかなければなりません。当院では、必要に応じて各々の専門医に相談しながら診療を行っています。例えば足の指に変形が生じて歩きづらくなったり、胼胝(タコ)ができたりした場合には、提携している湘南鎌倉総合病院のフットケア外来にお願いし、胼胝のケアを行ったり、歩きづらさを解消するためのインソール(中敷き)や靴型装具を作成するなどの対応をしています。

吉澤 和希先生

関節に負担のかかる動作は避ける

 日常生活では、関節に負担のかかる動作を避けていただきたいのですが、関節リウマチの患者さんには女性が多く、家事や介護などでつい無理をしてしまう方が見受けられます。特に重いものを持ったり、包丁で固いものを切るなどの動作は関節を痛めることがありますので、荷物が重いときは関節に負担をかけないショルダーバッグや車輪付きのキャリーバッグを使う、あるいは、家事や介護をご家族に分担してもらうなどの工夫をしていただきたいと思います。

 居住環境の工夫もご家族と一緒に考えていただきたいことの1つです。特に高齢者では骨粗しょう症による転倒や骨折が懸念されます。転倒防止に配慮し、段差をなくしたり、手すりを取り付けたりすると良いでしょう。このほか、関節リウマチの患者さんが使いやすい杖やベッド、着替えや洗濯物を干したりする際に便利なリーチャーなどの自助具や装具もあります。費用は介護保険を使えるものもありますし、リウマチ友の会などからの購入で費用負担が軽減されることもあります。必要に応じて施設のリハビリスタッフにご相談ください。

吉澤 和希先生

ご家族・周囲の理解とサポートは重要

 ご家族には関節リウマチという病気自体にも理解を深めていただきたいと思います。例えば患者さんが「痛い」と言っても、腫れや変形が見られないと周りの方は軽い痛みと捉えがちです。しかし、周りが思うより痛みは深刻な場合もあります。患者さんが痛みを訴えた場合は、積極的にサポートしていただければと思います。また、関節リウマチは強いストレスがかかったときに悪化しやすく、梅雨時や寒くなるなどの気候の影響を受ける患者さんもいらっしゃいます。これらにも周りの方が注意を払っていただければと思います。

参考文献
1) Kato E. et al.: Int J Rheum Dis. 2017 ;20(7):839-845.

吉澤 和希先生

吉澤 和希

1994年山梨医科大学(現 山梨大学医学部)を卒業し、医療法人徳洲会湘南鎌倉総合病院研修医となる。1998年千葉西総合病院を経て、1999年医療法人徳洲会湘南鎌倉総合病院内科に勤務する。2001年同病院内科・リウマチ科医長、2008年より同病院内科・リウマチ科部長を務める。2023年湘南かまくらクリニック院長に就任、リウマチ科・内科・漢方内科医師を兼任し現在に至る。

湘南かまくらクリニック

病床数:なし
所在地:神奈川県鎌倉市山崎1202-1

取材:2023年
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