先生からのメッセージ

関節リウマチとの上手な付き合い方

  • ゆうファミリークリニック
Takahashi Yuichi
高橋裕一先生

リハビリテーション指導で関節の変形を防ぐ

 患者さんに満足いただき、医師として自分も満足できる治療を行うためには、患者さんに寄り添うことが大事だと思っています。診察に当たっては患者さんの話をよく聞き、表情をよく観察することを心がけています。

 特に関節リウマチと診断されたとき、不治の病のように思い、表情が暗くなってしまう患者さんは多いです。そこで、「今は様々な良い薬が出ています。きっと良くなりますよ。」と声をかけ、治療に前向きに臨めるよう励まします。

 当院では関節リウマチと診断された方には、まずリハビリテーション指導を受けることをお勧めしています。関節を保護し変形を予防するためのリウマチ体操や、足元に置いたタオルを足指でつかむといった足の関節の変形を予防するための訓練方法、物をつかむなどの日常動作で手指の関節を傷めない動かし方など、関節リウマチと付き合っていくうえで知っておきたい知識が得られます。

高橋裕一先生

痛みの原因は関節リウマチ以外にも

 関節リウマチの進行が止まり、症状が抑えられている状態を「寛解」と呼びます。関節リウマチを寛解の状態に保つことは、日常生活を支障なくおくれるほか、合併症の予防にも有用です。処方されたお薬はきちんと飲んで関節リウマチの活動性を抑えましょう。同時に、病状の把握や薬の副作用の確認のために定期的な受診をお願いします。

 しかし、寛解の状態になっても痛みを訴える患者さんが時折います。関節の腫れが見られず、動きに問題がないにもかかわらず痛みがある場合は、病状が良くなっているがゆえに知らず知らずに関節を使い過ぎていることがあります。また、痛みの原因がストレスであることもあります。関節の使い過ぎや、過労や睡眠不足などのストレスの原因になることは避けていただきたいと思います。

 なお、まれにですが、痛みの原因が悪性腫瘍など関節リウマチ以外にあることもあります。痛みはもちろん気になる症状がある場合は、主治医の先生にしっかりと伝え、がん検診なども積極的に受診するようにしましょう。

口の中は清潔に。禁煙も心がけて

 日常生活の注意点としては、口の中を清潔に保つこと、および禁煙を心がけていただきたいと思います。

 歯周病菌は腸内細菌と免疫反応を起こし、抗CCP抗体というリウマチ因子の元になります。このため歯周病がある方では関節リウマチの活動性が持続的に悪化している可能性があります。虫歯などで歯に炎症がある場合も、そこから全身的な炎症が引き起こされ、関節リウマチの活動性が高くなることがあります。口の中はいつも清潔に保つようにしてください。

 喫煙は関節リウマチの危険因子であるほか、治療薬の効果を低下させることもあります。せっかくの治療を無駄にしないためにも、喫煙は避けていただければと思います。

高橋裕一先生
高橋裕一先生

高橋 裕一

1985年自治医科大学医学部を卒業、国立仙台病院(現:仙台医療センター)研修医となる。1987年公立築館病院(現:栗原中央病院)内科勤務を経て、1990年東北大学第二内科に入局。1991年町立岩出山病院(現:大崎市民病院岩出山分院)内科勤務を経て、1994年東北大学 臨床検査診断学助手、1995年同大学講師を務める。1997年東北厚生年金病院(現:東北医科薬科大学病院)リウマチ膠原病科部長となる。 2003年ゆうファミリークリニック院長となり、現在に至る。

ゆうファミリークリニック

病床数:なし
所在地:宮城県宮城郡利府町利府字新館2-5

取材:2022年
Page top