先生からのメッセージ

患者さんの本音を知ってこそ提供できるベストな治療

  • 医療法人 社団真愛かおり会 こぼり整形外科クリニック
Kobori Kaori
小堀かおり先生

関節エコーでわかる炎症の兆候

 患者さんの関節の痛みの原因をどうやってキャッチするかということが、今、関節リウマチの分野で盛んに研究されています。その答えの一つが関節エコーです。例えば、疾患活動性は低くなっていて、腫れも認められないのに、関節の痛みが治まらないことがあります。このような場合に関節エコー検査を行うと、滑膜が増殖していたり、血流が多くなっているといった炎症の兆候を観察でき、痛みの原因を特定できる場合があります。

 関節リウマチでは関節の破壊が起こる前、なるべく早期に治療を始めることが大切です。痛みがあれば必ず医師に伝えるようにしてください。私たち医師は、関節リウマチの様子を捉えたい一心で、患者さんの言葉に耳を傾けています。また、日常生活で困っていることや、治療を行う上で知りたいことも遠慮なくおっしゃってください。家庭の事情や経済的な事由など話しにくいこともあるかと思いますが、患者さんの本音を知ってはじめて、その方にとってのベストな治療が提供できると考えています。

小堀かおり先生

手術の進歩で早期の社会復帰も可能に

 当クリニックでは、発病前と変わらない生活に戻ることを目標に、外来だけでなく入院や手術治療も行っています。手術は、関節破壊が進んだり、日常の動作に支障を来たした場合などに、患者さんのご希望に合わせて考慮します。関節リウマチの手術はこの十年で劇的に進歩し、股関節や膝関節など大きな関節の人工関節置換術では、手術の翌日から立つことができます。術後早くからリハビリテーションを開始でき、患者さんの体力も温存され、合併症も起こりにくいという良い循環につながっています。術後1週間ほどで退院になりますが、その頃には杖をついて歩ける程度に回復し、階段を上る練習が行えるようになります。職場復帰もデスクワーク中心のお仕事であれば術後2週間から1か月で可能です。ご家庭の事情などから自分で買い物に行ける程度まで回復しなくては退院できないという方は、提携の回復期リハビリ病院に移っていただき、さらに2~3週間リハビリを行ってから自宅に戻るという方法を取ることもできます。

 手術を受ける場合には、ご家族のご理解とご協力も重要です。手術の説明にはご家族にもお越しいただき、手術自体についてだけではなく、術後どういったことが期待でき、どのようなサポートが必要かといったこともお話しします。術後の生活が予測できますので、ご家庭の事情に合わせ「1階で寝た方がいいからベッドを移動しよう」といったように、何をどう準備すればよいか話し合っていただけます。手術の説明は、ぜひご家族も同席されることをお勧めします。

できるだけ関節を動かしましょう

 関節リウマチ患者さんには、自分でできることは何でもやっていただき、活き活きと暮らしていただきたいと思います。

 人間の体の衰えは早く、身体を全く動かさない状態が3週間続くと、車椅子が必要になる場合もあります。毎日30分は歩くよう心がけてください。連続30分ではなく、朝15分、夕方15分でも構いません。実践されている患者さんはみなさん「体調が良くなった」とおっしゃいます。

 また、関節は動かさないとすぐに固まってしまいます。関節の可動域を保つために、できる範囲で毎日動かすことを心がけましょう。指、肘、肩、股、膝など、それぞれの関節を意識して動かしてみてください。お風呂の中で動かすのも良い方法です。重症のためほとんど動けないという方は、リハビリ施設を利用して痛い関節、問題のある関節の動きを良くしてもらい、機能を保つと良いでしょう。

 ただし関節に炎症が出て動かせない場合は無理をせず、主治医に相談するようにしましょう。

小堀かおり先生
小堀かおり先生

小堀 かおり

1972年大阪大学工学部卒業。1981年、長男の小学校入学と同時に京都府立医科大学に入学し、1987年に卒業し京都大学医学部附属病院研修医となる。1988年より聖隷三方原病院整形外科に勤務し、1994年同病院整形外科医長、2002年同病院整形外科主任医長となる。2004年、医療法人 社団真愛かおり会 こぼり整形外科クリニック院長となり、現在に至る。

医療法人 社団真愛かおり会 こぼり整形外科クリニック

病床数:8床
所在地:静岡県浜松市北区根洗町548-2

取材:2022年
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