先生からのメッセージ

希望を持って前向きに治療を

  • 佐賀大学医学部附属病院 診療教授
Tada Yoshifumi
多田芳史先生

発病前のように回復することも可能な時代に

 関節リウマチは、以前は進行を抑えることが難しく、手足が変形し、車いす生活になることも珍しくない病気だと思われていました。しかし、治療が進歩した今では、適切な治療により発病前と変わらないくらいにまで回復する方もたくさんおられます。患者さんには、希望を持って治療に臨んでいただきたいと思います。ここ数年当科では、病状が落ち着いたり、進行が止まっている患者さんが8割程度となっています。

 治療薬としてはメトトレキサートが標準薬として使われ、次の段階で生物学的製剤、JAK阻害薬などが使用されることが増えました。飲み薬や注射剤などタイプも様々あります。ご自身の希望や治療目標にあった治療を主治医とともに前向きに選択していきましょう。

多田芳史先生

手指の変形も手術でほぼ目立たなくなる

 近年は手術療法も進歩しています。人工関節置換術というと膝や股関節などの大きな関節の手術というイメージを持たれている方が多いかもしれません。しかし、現在では人工指関節置換術、手指軟部再建術などにより、小さな手指関節も手術ができるようになりました。機能や見た目をより良くすることが可能ですので、QOLが向上し、精神的にも良い影響があり、手指の機能障害が軽度でも手術を希望される患者さんがいらっしゃいます。

ライフイベントの変化にも注意を

 普段の生活で気を付けていただきたいことは、まずは治療を継続し、処方されたお薬をきちんと飲むことです。飲み忘れた時や、お薬を変えたい時などは、診察時に主治医に遠慮なくお話しください。主治医も患者さんとコミュニケーションをとりながら治療をしたいと思っています。医師に話づらい場合は、看護師、薬剤師や受付スタッフなど、誰でも結構ですので話をして欲しいです。

 関節リウマチが悪化した時には、ストレスがあったり、無理をし過ぎていないかなどご自身の生活を振り返っていただければと思います。意外に思われるかもしれませんが、入学、就職といった祝福すべきライフイベントも精神的・肉体的ストレスになることがあります。関節リウマチは女性患者が多いこともあり、結婚や出産で悪化する患者さんもおられます。こういったストレスには患者さんは無自覚であることが多いです。

 プライバシーへの配慮もあり、医療者側からあまり私生活に立ち入ったことは伺いにくいですが、生活に変化などがあれば患者さんからお話くださると、原因を一緒に考えたり、アドバイスができたりします。ご自身のストレスを自覚し、日々の生活に折り合いをつけられるようになると、関節リウマチの症状も徐々に落ち着いていくこともあります。

 一方、無理をしてはいけないからといって、あまり活動せず運動不足になるのもよくありません。その頃合いは患者さん一人ひとりで違いますので、主治医とよくご相談いただければと思います。

多田芳史先生
多田芳史先生

多田 芳史

1985年九州大学医学部卒業、1987年同大学医学部第1内科に入局する。1993年7月カナダ、オンタリオ癌研究所・アムジェン研究所ポストドクトラルフェローとなり、1996年佐賀医科大学医学部内科に入局する。2003年には佐賀大学医学部 内科(膠原病・リウマチ内科)に講師として入局。2012年より同大学医学部同科准教授ならびに佐賀大学医学部附属病院膠原病・リウマチ内科診療教授を兼任し現在に至る。

佐賀大学医学部附属病院

病床数:604床
所在地:佐賀県佐賀市鍋島5丁目1番1号

取材:2022年
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