先生からのメッセージ

病気でありながらも心豊かに暮らすことが大切

  • 国家公務員共済組合連合会 横浜南共済病院 病院長
Nagaoka Syohei
長岡章平先生

病気だけではなく人を診る

 医療は、患者さんの話にじっくりと耳を傾けることから始まります。日頃から心がけていることは、患者さんがこれまで歩んできた人生や価値観などを含め、病気を診るのではなく、一人の人間として診ることです。関節リウマチは慢性疾患なので、一度病気になったら長い経過をたどることになります。患者さんそれぞれの人生において関節リウマチがどの程度影響を及ぼしているのかを理解することは大切だと思っています。

長岡章平先生

患者さん同士の情報共有のために院内に患者会を設立

 患者さんにご自身の疾患をより理解していただくことや患者さん同士で情報共有していただくことが極めて重要と考えており、 2000年より病院内に患者の会「きずな」を設立しています。治療、検査、食事、合併症などをテーマとした講演会のほか、カラオケ大会やバス旅行などのレクリエーションを行っています。そして年3回、会報を出して募集中の治験や療養の体験談など役立つ情報を会員の皆さんにお伝えしています。患者さんは病気と一生付き合っていかなければなりませんが、病気でない人と同じように趣味を持って楽しく暮らしていただきたいという気持ちがあります。そのために、会では病気の話に終始するのではなく、感銘を受けた本を紹介するなど、親睦も含め心を豊かにするイベントが盛り込まれています。

長岡章平先生

リウマチ以外の病気にも気を配ることが大切

 患者さんには人間ドック健診を1〜2年に1回は受けるように勧めています。関節リウマチ患者さんは頻繁に検査を受けているので、かえって安心しているところがあるかもしれません。がんと診断された関節リウマチ患者さんのご家族からも「長らく受診しているのにもかかわらず、なんでがんが発見できなかったのか」と言われたりもしますが、リウマチの検査には日本人の死因の上位を占めるがんや心臓病、脳卒中などの検査は含まれていません。国立がん研究センターの統計データによると、日本人の2人に1人が生涯でがんになります。私の受け持っている患者さんの中でも年に10〜20人にがんが発症しています。また、脳卒中は片麻痺や寝たきりなど後遺症が残るケースもあり、発症するとその後の人生に大きな影響を及ぼします。最近の治療技術の進歩もありどちらの病気も早期発見で治療することが可能となっています。是非人間ドック健診を積極的に受けてがんや脳卒中の早期診断・治療につなげていただきたいと切に願っています。

長岡章平先生

長岡 章平

1978年横浜市立大学医学部卒業後、同大学の第一内科に入局。1986年横浜掖済会病院内科、1988年国立横須賀病院勤務、1998年横浜南共済病院へ。リウマチ科部長、診療部長、副院長を歴任した後、2017年から現職。担当診療科は膠原病リウマチ内科。

国家公務員共済組合連合会
横浜南共済病院

病床数:565床
所在地:神奈川県横浜市金沢区六浦東1-21-1

取材:2022年
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