先生からのメッセージ

進歩した関節リウマチ治療薬に漢方薬を併用し、患者さんのQOL向上を図る

  • 富山県立中央病院
  • リウマチ・和漢診療科部長
Fujinaga Hiroshi
藤永 洋先生

関節リウマチ治療薬に漢方薬を併用

 関節リウマチ治療は近年劇的な進歩を遂げました。従来の抗炎症薬やステロイド薬を中心とした対症療法から大きく転換し、現在では標準治療薬のメトトレキサートを基軸として、効果不十分な症例に対しては生物学的製剤やJAK阻害薬など治療薬の選択肢が増えています。その結果、多くの患者さんが寛解を達成し、健康な人とほぼ変わらない生活が目指せるようにもなっています。患者さんには希望を持って治療に取り組んでいただきたいと願っています。

 さらに当院では、これらの治療に加えて、漢方薬を併用しています。関節リウマチに随伴する冷えによる疼痛、全身倦怠感、食欲不振、筋力低下のほか、体内の水分代謝異常による浮腫や関節腫脹、口渇や眼乾燥といった乾燥症状などの困りごとに応じた漢方薬を選択し、患者さんのQOL向上を図っています。

藤永 洋先生

口腔ケアと感染予防、脱水にもご注意を

 歯周病は関節リウマチの発症要因の一つとされており、歯周病治療によって関節リウマチの疾患活動性が低下するという研究データも報告されています1)。これは、歯周病菌が産生する炎症性サイトカインが全身の炎症反応を増悪させるためと考えられています。そのため、関節リウマチの患者さんには、毎日の口腔ケアと定期的な歯科受診によるプラークコントロールの実践を推奨しています。

 また、関節リウマチの治療は免疫能を抑制しますので、感染症予防も重要です。感染症の予防には、手洗いやうがい、マスク着用などの一般的な感染症対策に加え、ワクチン接種が勧められます。特に帯状疱疹に関しては、免疫能が低下している患者さんは健康な人と比較して発症リスクが高いことが報告されています2)。主治医とご相談のうえ、帯状疱疹ワクチンの接種をご考慮ください。

 また、脱水にもご注意いただきたいと思います。脱水になると関節リウマチ治療薬の血中濃度が上昇し、副作用のリスクが高まります。特に夏季は意識的な水分摂取を心がけてください。

藤永 洋先生

ご家族の理解とサポートが治療のカギとなる

 関節リウマチは、外見からは症状の程度が分かりにくいという特徴があります。関節の腫れや変形など目に見える症状が現れることもありますが、見た目には症状がないのに痛みやこわばり、疲労感により、患者さんが日常生活に大きな不自由を感じている場合も少なくありません。また、関節リウマチの症状は、季節や天候、気温や湿度の変化によって増悪することもあります。さらに、関節リウマチ治療薬には使用方法が複雑なものがあり、高齢の患者さんでは薬剤管理が困難になる場合があります。

 ご家族には、このような病気や治療の特性をご理解いただき、適切なサポートをお願いしたいと思います。

参考文献

  • 1)Nakajima Y, et al. Med Sci Monit. 2025; 31: e947146. doi: 10.12659/MSM.947146.

  • 2)Hata A, et al. Infection. 2011; 39(6): 537-544.

藤永 洋先生

藤永 洋

1989年富山医科薬科大学医学部卒業後、同大学附属病院和漢診療部医員。1990年千葉県成田赤十字病院。1993年神奈川県丹羽病院。1995年富山医科薬科大学附属病院和漢診療部医員。1996年順天堂大学膠原病内科研究生。1997年富山医科薬科大学附属病院和漢診療部医員を経て、1999年同病院同部助手。2000年富山県立中央病院和漢診療科医長を経て、2008年同病院同科部長。2012年同病院内科和漢・リウマチ科(名称変更)部長。2020年より現職。

富山県立中央病院

病床数:706床
所在地:富山県富山市西長江2丁目2番78号

取材:2025年

※所属および掲載内容は、取材当時のものです。

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