先生からのメッセージ
- JA北海道厚生連 帯広厚生病院
- 消化器内科(リウマチ糖尿病内科) 医長
関節リウマチは全身を診ることが重要
当院には北海道十勝地域全域から関節リウマチ患者さんが集まって来ます。若年から高齢者、軽症から重症まで幅広い患者さんを受け入れることになるため、患者さんを診る場合は関節リウマチだけではなく、併存疾患や生活習慣など、患者さんの背景の全体を考えて治療方針を決定しています。特に関節リウマチの治療薬には、コレステロール値や血糖値を上昇させるものもありますので、関節症状は改善したものの、コレステロール値上昇から心筋梗塞を発症したといったことのないよう、関節だけではなく、全身に気を配ることが大切と考えています。
感染症が関節リウマチの再燃を引き起こすことも
関節リウマチの治療では、免疫を抑制する薬が使用されるため、感染症に罹りやすくなります。感染症はそれ自体がリスクですが、加えて関節リウマチの再燃のきっかけとなることもあります。風邪をひいた後に関節が痛くなったという場合、それは風邪をひかなければ防げた関節リウマチの再燃の可能性があります。
感染症対策は、手洗い、うがい、人混みでのマスク着用といった標準的な予防策の継続が基本となります。また、ご家族や身近な人が風邪やインフルエンザなどに罹患した際には、可能な範囲で適切な距離を保ったり、タオルや食器の共用を避けるなどの対策をとることも必要です。感染症の重症化予防には、インフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチン、帯状疱疹ワクチンなどのワクチン接種も推奨されます。
痛みが出ない程度に適度な運動を
患者さんから「体を動かした方がよいのか、安静にした方がよいのか」という相談をよく受けます。基本的には体は適度に動かしていただきたいと思います。体を動かさない状態が長く続くと、身体機能の低下を招くことがあります。特に高齢の患者さんでは、誤嚥性肺炎や骨折のリスクを高めたり、フレイル(虚弱状態)に陥りやすくなります。また、関節リウマチの代表的な症状である朝のこわばりは、体を動かしているうちに改善することがあります。これは運動により血流が促進され、痛みの原因となる物質が体内に分散されるためと考えられます。運動は、農作業などが日常的であった方やスポーツを趣味にしてきた方はそれを継続するのがよいでしょう。新しく始める場合は、自転車やプールでの水中運動など関節への負荷が少ない運動が勧められます。
しかし、運動もやりすぎると炎症を誘発したり、関節の腫れや痛みを悪化させることがあります。運動量の大まかな目安は「痛みが出ない程度」ですが、患者さん個々の状況によって異なるため、詳しくは主治医にご相談ください。
ご家族のサポートも得ながら毎日を前向きに
患者さんが前向きに治療を継続していくためには、ご家族の理解と協力が欠かせません。関節リウマチの治療は長期にわたるため、患者さんは「いつまでこの治療を続けるのか」「いつまで痛みを我慢しなければならないのか」といった不安を抱えがちです。ご家族はこうした不安を理解し、サポートしていただきたいと思います。また、よりよい治療を行うには、医師が患者さんの普段の状況を把握することが必要ですが、患者さんはつらくても医師には「大丈夫」とつい話してしまうことがあります。ご家族には診察に同席いただき、患者さんのお話を補足していただければと思います。
患者さんの中には「自分は病気なのだから今までのような生活はできない」と思い込み、やりたいことを我慢する方がいらっしゃいます。しかし、関節リウマチ患者さんが生活スタイルを大幅に変更する必要は基本的にありません。感染症への注意は必要ですが、仕事も趣味も諦めることなく、前向きに生活を楽しんでいただければと思っています。
下山 修平 先生
2013年北海道大学医学部医学科卒業後、滝川市立病院。2015年JA北海道厚生連帯広厚生病院消化器内科(消化器・内分泌・ 糖尿病・リウマチ・膠原病)。2016年北見赤十字病院内科・総合診療科。2017年北海道大学病院内科Ⅱ。2021年苫小牧市立病院内科。2024年JA北海道厚生連 帯広厚生病院消化器内科(消化器・内分泌・ 糖尿病・リウマチ・膠原病)を経て2025年より現職。
JA北海道厚生連 帯広厚生病院
病床数:651床
所在地:北海道帯広市西14条南10丁目1
※所属および掲載内容は、取材当時のものです。