先生からのメッセージ
- 川崎医科大学
- リウマチ・膠原病学 主任教授
何でもオープンに話すことが適切な治療につながる
関節リウマチ治療を適切に進めるためには、患者さんの現在の病状を正確に把握することが大切だと考えています。例えば、疾患活動性は下がっていても患者さんには痛みや倦怠感が残っていることがあります。そこで当院では診察時には毎回患者さんの主観的な症状や不安などをチェックシートに記入いただき、疾患活動性では測れない症状を拾い上げ、その結果次第で治療方針を見直しています。また、チェックシートには書きにくい患者さんの生活状況や悩み、希望なども治療方針に組み入れていけるよう、限られた診療時間ではありますが、診察室では何でもオープンにお話しいただくようお願いしています。
より効果的な治療のために
効果的な治療のためにまず大切なのは、処方された薬をきちんと指示通りに続けることです。自己判断で薬をやめてしまうのは関節リウマチの再燃につながる可能性があり、たいへん危険です。体調が良ければ薬を減らせる場合もありますが、必ず主治医に相談し、主治医の指導の下で徐々に薬を減らすようにしてください。
また、サプリメントや健康食品が治療に思わぬ影響を及ぼすことがあります。例えば、青汁などは葉酸を多く含むため関節リウマチ治療の基本薬であるメトトレキサートの効果を低下させることがあります。サプリメントや健康食品を取り入れている場合は必ず主治医に伝えてください。
関節周囲の筋肉を鍛え、膝への負担を減らす
健康寿命を延ばすためにウォーキングが効果的であることはよく知られており、日課にしている方もいらっしゃると思います。しかし、関節リウマチの患者さんの場合は、膝や足の関節に痛みがあるときの過度のウォーキングは避けたほうが良いでしょう。特に関節リウマチの罹病期間が長い方では膝の軟骨がすり減って変形性の膝関節症などを発症されている方も多く、無理に歩くと悪化させる可能性があります。まずはスクワットなどで膝関節周囲の筋肉を鍛えることをおすすめします。スクワットは1日3回毎食後10回程度が目安となりますが、患者さんそれぞれでも異なりますので、主治医とよく相談したうえで行うようにしてください。
ご家族は患者さんを温かい目で見守って
関節リウマチの痛みや倦怠感は患者さんご本人にしかわからないところがあります。ですので、ご家族の方には、温かい目で見守っていただきたいと思います。そして、時々でよいので診察時に同席していただき、病気のことはもちろん日常の困りごとなど、質問や相談があれば遠慮なくお話しください。経済事情を考慮した治療提案も可能ですし、通院が困難であればお近くの医療機関をお探しすることもできます。高額療養費制度や介護認定など社会的な支援についてのご提案もできます。患者さんが治療を継続できる環境をご家族と医療者が一緒に作っていければと思っています。
中野 和久 先生
1997年産業医科大学医学部医学科卒業。同大学病院修練医として社会保険小倉記念病院へ出向。2005年産業医科大学大学院医学研究科障害機構系病態機構部門を修了し、埼玉医科大学学生保健管理室助手・専属産業医。2007年産業医科大学第一内科学講座助教。2010年米国カリフォルニア大学サンディエゴ校留学。2013年産業医科大学第一内科学講座学内講師。2017年同大学同科講師を経て、2020年同大学病院臨床研究推進センター副センター長/教育・計画支援部門長。2021年川崎医科大学リウマチ・膠原病学特任教授、同大学附属病院リウマチ・膠原病科診療部長。2024年より現職。
川崎医科大学附属病院
病床数:1,138床
所在地:岡山県倉敷市松島577
※所属および掲載内容は、取材当時のものです。