先生からのメッセージ

患者さんと医師が治療目標を共有し生活の質の向上を目指す

  • おあしす内科リウマチ科クリニック 院長
Ota Shuji
太田 修二先生

T2Tの治療概念に基づき積極治療

 当院の関節リウマチ診療では、「目標達成に向けた治療(Treat to Target ;T2T)」という概念に基づき、積極的な治療を行っています。T2Tは患者さんと医師が治療目標を共有し、標準治療では目標が達成されない場合、治療を段階的に強化していくアプローチです。具体的には、疾患活動性が高い場合には月に一回程度、関節所見、炎症反応、患者さんの主観的な痛みや全般的な状態、医師の評価も含めた総合的疾患活動性指標を用いて目標の達成度合いを医師が判断し、その結果に基づいて今行っている治療を見直します。疾患活動性がコントロールされている場合でも3~6ヵ月ごとに活動性の評価を行い、生涯にわたって目標を維持することを目指します。

 T2Tでは、エビデンスに基づいた治療を個々の患者さんの状態に合わせて行うことで、患者さんの予後を長期的に改善することができます。

太田 修二先生

関節リウマチ患者さんにお勧めのロコモーショントレーニング

 関節リウマチ患者さんにとって適度な運動は、症状緩和および体の動きを支える筋肉や骨の機能低下を防ぐために不可欠です。毎日30分のウォーキングなどのほか、ロコモーショントレーニング(ロコトレ)も、安全で効果的な運動方法としてお勧めです。ロコトレは、日本整形外科学会が推奨する簡単な運動で、バランス能力向上のための「片脚立ち」と下肢筋力強化のための「スクワット」があります。①「片脚立ち」では、机などにつかまって、片脚を床から少し離した姿勢を1分間キープします。これを左右1セットとして1日3セット行います。②「スクワット」は、足を肩幅に広げて立ち、2~3秒かけてお尻を後ろに引くようにゆっくりと膝を曲げ、またゆっくりと伸ばします。難しい場合は椅子に腰掛け、机に手をついて立ち座りを繰り返してください。深呼吸しながら5〜6回行い、これを1セットとして1日3セット行います。さらに、余裕があればふくらはぎ強化のための③「ヒールレイズ」も行ってみてください。これは椅子の背もたれなどに手をつき、踵を上げ下げします。これを10〜20回を1セットとして1日2〜3セット行います。いずれも無理のないよう、ご自身の病状や体力に合わせて回数などは加減してください。ウォーキングに代表される適度な運動は、関節リウマチの痛みの軽減や関節機能の維持のみならず、骨粗鬆症や高血圧、糖尿病の予防なども期待できますので、ぜひ取り入れていただきたいと思います。

関節リウマチ以外の病気にも気を配る

 関節リウマチが寛解状態になっても、将来的に生活の質を維持していくためには、関節リウマチ以外の病気にも注意を払う必要があります。特に懸念されるのは、脳卒中、心筋梗塞などのリスクとなる生活習慣病です。また、時に悪性腫瘍を合併する方もいらっしゃいますので、健康診断は定期的に受けるようにしましょう。関節リウマチの患者さんに合併しやすい骨粗鬆症や感染症などの対策も継続的に行ってください。

 関節リウマチ患者さんの生活の質を維持するためには、ご家族の理解や支えも重要です。特に治療を始めてある程度疾患活動性が落ち着くまでの最初の数ヵ月や病状が悪い時は十分な安静が必要ですので、家事を代わってあげる、荷物を持ってあげるなど、ぜひご家族の積極的なサポートをお願いしたいと思います。

太田 修二先生
太田 修二先生

太田 修二

1990年北里大学医学部医学科卒業。同年東京女子医科大学膠原病リウマチ痛風センター入局。1991年川崎市立川崎病院 内科。1993年東京女子医科大学附属青山病院助手。1994年株式会社日立製作所多賀総合病院リウマチ科。1996年東京女子医科大学膠原病リウマチ痛風センター助手。2001年株式会社日立製作所多賀総合病院リウマチ科医長。2002年同院主任医長。2008年株式会社日立製作所多賀総合病院リウマチ膠原病センター長。2012年おあしす内科リウマチ科クリニック開院。現在に至る。

おあしす内科リウマチ科クリニック

病床数:なし
所在地:茨城県日立市金沢町3-17-15

取材:2024年

※所属および掲載内容は、取材当時のものです。

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