先生からのメッセージ
- 市立長浜病院 リウマチ膠原病・血液内科 責任部長

主治医には遠慮せず、どんな小さな悩みでも伝えて
日常診療で心がけていることは、患者さんの視点に立つことです。限られた時間内でのコミュニケーションでは難しいこともありますが、患者さんの生活状況や困っていることをできるだけ把握し、問題を引き出すよう努めています。主治医には遠慮せず、どんな小さな悩みでも伝えてください。話しにくいこともあるかもしれませんが、患者さんの問題を知り、解決に努めることが、治療をより良い方向へ導く手助けになります。
当地(滋賀県長浜市)でも全国と同様に、関節リウマチ患者さんの高齢化が進んでいます。これは既に発症している患者さんの高齢化に加え、高齢になって発症するケースが増えているためです。高齢の患者さんは生活習慣病などの持病があって既に薬剤を服用されており、そこに関節リウマチの治療薬を加えると多剤服用となってしまいます。一方で慢性腎臓病を合併している患者さんでは、使用できる関節リウマチの治療薬が限られてしまうことも問題です。これらは、高齢の関節リウマチ患者さんの治療における課題となっています。
定期的な歯科検診と日々の口腔内ケアが重要
当院では虫歯や歯周病の関節リウマチ患者さんが多く、口腔内ケアの重要性を実感しています。京都大学医学部附属病院リウマチセンターの研究で、歯周病がある関節痛患者さんは関節リウマチの発症リスクが高く1)、また口の中に3種類以上の代表的な歯周病菌を保有する関節リウマチ患者さんは1年後に症状が悪化する傾向2)が示されました。これらの知見から、歯周病が関節リウマチ発症および悪化の一因である可能性が示唆されます。そのため、当院では積極的に歯科受診を推奨しています。適切な口腔内ケアによって病状が改善されるケースも確認されています。

痛みのない範囲での運動と感染症対策を
患者さんからよく「関節は休めたほうが良いのか、動かしたほうが良いのか」と質問されます。関節が腫れているときは動かさずに休養すべきですが、長期間動かさないでいると関節が硬直し筋力が低下してしまう恐れがあるため、痛みのない範囲で適度に動かしていただきたいと思います。関節に過度な負担をかけないよう心がけつつ関節の曲げ伸ばしを行い、関節の可動域を保ってください。筋力の維持には、関節を動かさずに筋肉にだけ力を入れるといった運動を行うと良いでしょう。運動の量や強度については個人差もありますので、詳しくは主治医にご確認ください。
関節リウマチ患者さんは、感染症予防をしっかりと行ってください。インフルエンザワクチンの定期接種に加え、特にJAK阻害剤や生物学的製剤を使用中の患者さんには、肺炎球菌ワクチンや帯状疱疹ワクチンの接種が推奨されます。新型コロナウイルスワクチンについては、個々の状況に応じて主治医と相談の上、接種を検討することが望ましいでしょう。
些細な気遣いが患者さんの負担を軽くする
患者さんのご家族には、関節リウマチが慢性疾患であり、長期的に付き合っていかなければならない病気であることをご理解いただき、適切なサポートをお願いしたいと思います。患者さんへのサポートは、患者さん自身ができることは尊重しつつ、日常生活の中で無理のないよう行うことが大切です。重い物を持ってあげる、具合が悪そうであれば受診を促すなど些細なことでも患者さんの負担を軽減できるよう配慮することが、患者さんの気持ちを和らげ、生活の質を向上させる大きな助けとなります。

参考文献
1)Hashimoto M, et al. PLoS One. 2015; 10: e0122121.
2)第58回日本リウマチ学会総会・学術総会(2014年)

新川 雄高 先生
2011年大分大学医学部卒業。同年京都桂病院初期研修。2013年田附興風会北野病院リウマチ膠原病内科後期研修。2016年京都大学医学部医学科博士後期課程。2021年京都大学医学部附属病院医員。2023年から現職。
市立長浜病院
病床数:565床
所在地:滋賀県長浜市大戌亥町313番地