先生からのメッセージ
- JA愛知厚生連 豊田厚生病院 医療安全管理部長兼整形外科代表部長兼
- リハビリテーション代表部長兼リウマチ科部長

高齢化の影響で手術が必要となるケースも
近年、関節リウマチは治療法の進歩により、関節破壊の進行を薬物療法のみで抑制することが可能になってきました。そのため、かつては必要不可欠とされた人工関節置換術などの手術件数は減少傾向にあります。しかし、診断の遅れや不十分な治療のため膝や股関節の障害が進行し、手術を要する患者さんも未だ一定数います。また、関節リウマチ患者さんの高齢化の影響で、加齢によって関節がすり減ることで障害が進行し、手術が必要となるケースも見受けられます。
手術時期は日常生活への支障度合いが基準
手術を行う場合はタイミングがとても重要となります。基本的には日常生活の支障度合いが手術判断の基準となり、「これまでできていた家事ができなくなった」「歩ける距離が短くなった」「階段の昇り降りが困難になった」など、日常生活動作に支障が出始めたら手術を検討するタイミングと考えられます。特に脚の関節に支障を来すと、それに伴い筋力も低下し、ますます日常生活動作が困難になっていきますので、手術により進行を食い止めることが重要となります。実際には患者さんの個々のケースに応じて総合的に判断することになりますので、主治医としっかり相談していただければと思います。

薬物療法を確実に継続した上で規則正しい生活を
関節リウマチ患者さんにとって、最も大事なことは適切な治療を受け、病状をコントロールすることです。薬物療法は確実に継続することが極めて大事です。症状が一時的に改善されたとしても、自らの判断で服薬を中止してはいけません。中断すれば、病状が再燃するリスクが高まるからです。薬物療法を継続した上で、無理をせず、規則正しい生活と十分な睡眠、栄養バランスの良い食生活を心がけることが体調の維持・増進につながります。
なお、リウマチ治療薬は一般的な薬剤と比較して、副作用が発現しやすい性質があります。服用中は常に体調の変化に注意を払い、皮疹、咳、倦怠感、発熱、口内炎など、何らかの異変に気づいた場合には、速やかに主治医に連絡してください。
また、関節リウマチ患者さんは、骨密度が低下しやすく、骨粗鬆症のリスクが高いとされます。骨粗鬆症の予防には、日光浴と適度な運動が有効です。お天気の良い日は外に出て15分から30分程度の散歩を日課にするとよいでしょう。
ご家族は患者さんに寄り添い十分なサポートを
現在、関節リウマチは適切な治療を行えば、多くの患者さんは良好な経過をたどれるようになってきています。しかし、患者さんご本人は、今後の見通しに不安を抱えていることが少なくありません。ご家族には、そういった不安な気持ちに寄り添い、サポートしていただきたいと思います。主治医と連携しながら、ご家族で患者さんをしっかりとサポートしていくことは予後改善にとても大切です。
ご高齢の患者さんについては、特に服薬のサポートが重要です。内服薬の中には週1回しか服用しないものもあり、決められた間隔で確実に服用できるよう、確認を行うことが求められます。また、注射薬も週1回、2週に1回、4週に1回など、一定の間隔で投与するものが多いので、こうした注射薬のスケジュール管理もご家族にサポートいただきたいと思います。


金山 康秀 先生
1993年岐阜大学医学部卒業。1999年豊橋市民病院リウマチ科。2003年名古屋大学大学院医学系研究科・医学部医学科 運動・形態外科学 整形外科学/リウマチ学。2007年同大医学部整形外科医員。2010年名古屋共立病院整形外科。2012年豊田厚生病院整形外科・リウマチ科部長。2018年名古屋大学医学部整形外科臨床講師。2019年豊田厚生病院整形外科代表部長。2022年より現職。
JA愛知厚生連 豊田厚生病院
病床数:606床
所在地:愛知県豊田市浄水町伊保原500-1