先生からのメッセージ

早期治療で病気がない時と変わらない生活を目指す

  • 久留米大学医学部 内科学講座 呼吸器・神経・膠原病内科部門 教授
Ida Hiroaki
井田 弘明先生

発病から2年以内が治療開始のタイミング

 私は現在の最新知識を駆使して目の前の患者さんを治療すると同時に、患者さんから得られた情報から研究を推進し未来の患者さんを治すことにつなげるという「現在」と「未来」を見据えた診療を心がけています。関節リウマチの現在の治療の中心は薬物治療になります。近年は新薬が登場したことで、早期に発見して適切な薬物治療を行えば、病気がない時と同じように生活することも可能になりました。ここで大切なのは、発病から2年以内と言われる治療開始のタイミングを逃さないことです。これを過ぎてしまうと、関節が変形してしまうなど、元に戻せない状態まで進行してしまうことが多くなります。症状が軽微な患者さんでは治療を始めることに抵抗がある方もいらっしゃるかと思いますが、診断から治療は迅速に進めることが重要です。

井田 弘明先生

治療選択は医師と患者さんとが話し合って

 治療を始めたらきちんと続けていただくことも大切ですので、治療方法は医師と患者さんとが話し合い、納得したうえで選択することが重要です。そのためには患者さんも病気や治療について勉強する必要がありますし、高齢患者さんではご家族も一緒に学び、そのうえで医師と話し合っていただければと思います。

 病気について調べる際にご注意いただきたいのはインターネットとの付き合い方です。検索して出てきた情報の中には間違いや不適切な情報が含まれていることもあります。冷静に信頼できる情報源かどうかを見極め、医学的根拠があるのかわからないときは主治医にお尋ねください。

関節は痛くても動かし、口腔ケアは念入りに

 日々の生活で大事なことは、痛くても関節を動かすべきだということです。痛みが出るため関節が動かないようサポーターで固定している患者さんがいらっしゃいますが、関節の状態は悪化してしまいます。

 口腔ケアも重要です。関節リウマチに特異的に見られる抗CPP抗体は、歯周病菌が産生していることや、喫煙歴があると高値になることなどが最近わかってきています。関節リウマチ患者さんに限らず、高齢者で特に寝たきりの方では口腔ケアが行き届かないと肺炎リスクにもつながります。口腔内はいつも清潔に保つよう心がけていただければと思います。

井田 弘明先生

骨粗鬆症対策には、日光を浴びながら散歩を

 関節リウマチは女性に多い病気ですが、閉経後の女性はホルモンのバランスが崩れ、骨粗鬆症になりやすくなっています。それに加えて関節リウマチの炎症がある場合や治療でステロイドを使用している方では骨粗鬆症リスクがさらに上昇します。定期的に骨密度を測定しカルシウムを摂取するだけでなく、カルシウムの吸収を助けるビタミンDが体内で産生されるよう日頃から日光に当たるようにしてください。関節を無理なく動かす意味でも、日光浴をしながらの散歩を習慣化すると良いと思います。

井田 弘明先生

井田 弘明

1987年長崎大学医学部医学科を卒業。研修医として、長崎大学医学部附属病院第一内科、1988年同院第三内科、社会福祉法人十善会病院を経て、1989年長崎大学大学院医学研究科博士課程に入学。1993年同課程を修了する。同年後藤会病院内科医、1994年白十字会佐世保中央病院内科医を経て、同年米国ハーバード大学ダナ・ファーバー癌研究所に留学(日本リウマチ財団米国派遣医)。1997年春回会長崎北病院内科医(第一内科研究生)、2000年法務省佐世保学園法務技官(第一内科研究生)、2003年長崎大学医学部・歯学部附属病院助手となる。2006年同院講師、2007年同院第一内科医局長を経て、2010年久留米大学医学部呼吸器・神経・膠原病内科(第一内科)准教授に就任する。2013年より現職。

久留米大学病院

病床数:1,018床
所在地:福岡県久留米市旭町67番地

取材:2024年
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