先生からのメッセージ
- 社会医療法人財団白十字会 佐世保中央病院 臨床研修・研究統括部長
- 白十字会専務理事

患者さんを包括的にサポートするリウマチ療養支援外来
近年の関節リウマチの特徴として、発症年齢が上昇傾向にあることが挙げられます。以前は40代後半に発症することが一般的でしたが、現在では60歳を超えて発症する患者さんが増加しています。当院においても、65歳以上の患者さんが全体の約70%を占めており、高齢化の傾向が明確に表れています。
患者さんの高齢化を踏まえ、当院では2007年にリウマチ療養支援外来を開設しました。これは看護師による外来で、病気や治療に関する詳細な説明や相談はもちろん、家庭環境、仕事状況、介助の必要性、家族の協力体制など患者さんの生活全般にわたるさまざまな心配事に、看護師ならではの視点で寄り添いサポートするものです。リウマチ療養支援外来の開設以降、治療を中断する患者さんが減り、継続的な疾患管理が実現しています。

ライフステージによって異なる治療アプローチ
関節リウマチの診断後の治療アプローチは発症時のライフステージによって異なります。若年層の患者さんに対しては、今後の長い人生でやりたいことができなくなることがないよう早期に治療介入し、高い効果が期待できる治療で病状を抑えることを優先します。一方、高齢の患者さんや併存疾患がある患者さんでは強力な治療が適さない場合もあるので、健康寿命の延伸を主目標とし、痛みの軽減や自立生活の維持に焦点を当て、患者さんの希望を考慮しながら治療方針を決定します。

基本的な感染予防対策を行い、食欲にも留意を
関節リウマチの治療法は近年大きく進歩し、病気そのものが直接命に関わるケースはほぼなくなりました。しかし、関節リウマチ患者さんは感染症にかかりやすく、感染症による生命予後の悪化リスクは依然として存在します。日頃から手洗いやマスク着用などの基本的な感染予防対策を必ず行い、咳や痰の出現、頻尿、発熱など普段とは違う症状に気づいた際は速やかに主治医へご連絡ください。また、食欲も体調把握の上で重要な指標になりますので、食欲がない、食事が上手く摂れないといったことがありましたら主治医にご相談ください。
ご家族のサポートも関節リウマチ治療には重要です。とくに治療開始時や治療内容を変更するときは、ご家族も一緒に来院し、主治医からの説明を患者さんとともに聞くことをお勧めします。その場での理解や決定が難しければ、メモをとったり録音するなどして、一度持ち帰ってご家族で相談いただくのも良いと思います。それが、病気や治療に対する理解を深め、より強固な支援体制を構築することにつながります。
今日の関節リウマチ治療は、医療者と患者さんが協力して、患者さんの年齢や生活環境、希望を考慮した最適な治療計画を立てていくことに加え、感染予防、そしてご家族のサポートなど包括的かつ多面的な取り組みが求められます。そして、これらを実行していくことが、治療成功の鍵といえます。

植木 幸孝 先生
1981年長崎大学医学部卒業後、同大学医学部第1内科学教室入局。1982年同大学附属病院第1内科医員。1986年長崎刑務所医療課長。1989年佐世保中央病院勤務。1993年同院内科診療部長。2002年同院リウマチ・膠原病センター長。2004年同病院副院長。2005年同院院長。2014年同院臨床研修・研究統括部長、白十字会常務理事。2020年白十字会専務理事。現在に至る。
佐世保中央病院
病床数:312床
所在地:長崎県佐世保市大和町15番地