先生からのメッセージ

関節リウマチ発症前に描いていた未来に近づけるために

  • 中島リウマチ膠原病・腎クリニック院長
Nakashima Satoru
中島 悟先生

やりたいことを諦めない治療選択

 私は患者さん一人ひとりが、関節リウマチを発症する前と同じような活動的な生活を取り戻すことを目標に診療を行っています。そのため、病気自体のコントロールはもちろん、関節リウマチによって学業や仕事、好きな趣味やスポーツなどを諦めることなく、できる限り発症前に近い生活を実現できるようお手伝いさせていただいています。そのためにも「病気になる前にやっていたこと、やろうとしていたことが全部できることが目標なんだ」というのを最初に伝え、やりたいことは全部言ってもらえるように、というのが最初の患者さんへのメッセージです。そこから、一緒に治療方針を決定していきましょうと話しています。

 特に関節リウマチは若い女性に多く発症する病気であり、かつては妊娠・出産を諦める患者さんも多かったのですが、現在では計画的に行えば妊娠・出産は可能です。まずは病状を良好にコントロールし、その後妊活に移行しますが、妊活中・妊娠中は避けるべき薬剤もありますので、主治医と綿密に相談し、産科や婦人科とも連携しながら薬剤の調整を行います。さらにパートナーやそのご家族にこの病気を正しく理解してもらうことも重要ですので、主治医から遺伝的リスクの有無なども含め十分な説明を受けていただくことが望まれます。こうした理解はその後の治療や生活への協力を得るうえでも大切です。

 また、当院は種子島から来院される患者さんも多く、島の患者さん自らがクリニックに来院して診察を受けるのは、費用や時間など大きな負担になります。そこで、自分が離島診療をすることで今まで高額の生物学的製剤を諦めていた患者さんにも、離島で生物学的製剤の導入ができるようになるなど、治療の選択肢を広げることで、患者さんのQOL向上に繋がっています。

介護を受けない老後のために必要な服薬継続と筋力の維持・向上

 治療においては、服薬アドヒアランスの維持がとても大切です。適切な服薬を継続することで、関節破壊と変形の進行を遅らせることができます。患者さんの中には症状の改善などを理由に自己判断で服薬を中断する方もいらっしゃいますが、これは骨や関節の破壊や変形を加速させ、重度の障害を引き起こし、将来的に要介護となる可能性があります。介護を受けない老後のためにも適切な服薬を継続いただきたいと思います。

 介護を受けない老後のためには筋力の維持・向上も重要です。関節リウマチ患者さんは筋力が低下しやすいため、病状が安定している時期には筋力増強トレーニングを積極的に行うことが推奨されます。特に関節を動かさずに行う等尺性運動は、関節リウマチ患者さんに適しています。等尺性運動とは、筋肉の長さを変えずに筋収縮を行う運動で、手のひらを押し合う動作などが該当します。こうした運動を行うことで、関節症状の悪化を最小限に抑えつつ、筋力の維持・向上を図ることができます。

中島 悟先生

患者さんの抱える「隠れた症状」にも気配りを

 関節リウマチ患者さんは関節の痛みや全身の倦怠感など、傍目にはわかりにくい症状に悩まされていることがあります。さらに、病気に対する不安などから抑うつ傾向となっていることもあります。ご家族や周りの方は、患者さんが問題なく過ごしているように見えていても、実際はつらい思いをしている可能性があることを念頭に、患者さんの体調変化に気を配り、訴えに耳を傾け、しばらく休ませてあげるなど寄り添うサポートをお願いしたいと思います。

中島 悟先生
中島 悟先生

中島 悟

2007年鹿児島大学医学部医学科卒業後、総合病院鹿児島生協病院にて初期研修。2011年産業医科大学第一内科(膠原病グループ)。2012年総合病院鹿児島生協病院。2017年鹿児島赤十字病院リウマチ科非常勤。2018年鹿児島赤十字病院リウマチ科常勤。2020年腎愛会上山病院内科・透析科・リウマチ科。2022年より中島リウマチ膠原病・腎クリニック開院、院長。

中島リウマチ膠原病・腎クリニック

病床数:なし
所在地:鹿児島県鹿児島市真砂本町26-3

取材:2024年
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